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 手料理……  それってどういう意味なんだろう……。 「い、いいよ。」 「えっ?……ホントに?」 「うん、だって食べたいんでしょ?」 「あ、うん、まぁ…。」 「明日は?土曜だから学校休みでしょ?私も予備校休みだし。」 「あ、午前中は部活です。その後なら…。」  少し困惑している祥平君だった。 「あ、あの、玖実さん、ホント気を遣わないでくださいね。そんな本格的なお礼される程のことしてませんから…。逆に申し訳ないです。」 「ううん、私にとっては祥平君は恩人だから。」 「いや、あの…、実は…、“ 手料理 ” って答えたら玖実さんは “ 無理 ” って言って、俺にご馳走するの諦めてくれるかなって思っただけなんです。ホント俺、そんな大したことしてませんし、何だか申し訳なくて…。スミマセン。」  祥平君は深々と頭を下げた。 「祥平君、頭上げてよ。そんな…。こっちこそゴメン。私のこと迷惑だったよね…。」 「違います!全然迷惑なんかじゃないです!むしろあの日玖実さんと出会えて良かったと…」 「えっ?」 「あ、いや、あの……、その…、ほら、玖実さんが飛び降りなくて良かったなーって…。」  何故か祥平君はあたふたしていた。 「ねぇ、明日部活何時に終わるの?」 「あ、明日ですか?えっと…12時に練習が終わって、片付けとか着替えしたら12時半には学校出れます。」 「何食べたい?」 「えっ?」 「私、祥平君が食べたいもの作って待ってるから、ウチに来て。」  どうしちゃったんだろう、私…。  男の人を一人暮らしの女の部屋に積極的に誘うなんて……。  
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