213人が本棚に入れています
本棚に追加
13
土曜を迎えた。早朝5時。
いつも以上に早く目が覚めてしまった。脳が少し興奮気味なのだろう。
なぜなら───────────────
祥平君がウチに来るから。
自分から祥平君を誘っておきながら、めちゃくちゃドキドキ緊張している。そしてこの事態に動揺している。
とは言え、相手は年下男子。変なことにはならないだろうと自分に言い聞かせる。
でも、高3男子。立派な大人の男。どうにかなっちゃう展開になったら、私……、
と、一人勝手に無限ループしながら、早めの朝食を摂り、部屋の掃除を始めた。
午前10時過ぎ。私はカレー作りに取り掛かった。
料理は割と得意な方で、普段から自炊している私にとっては腕の見せ所だ。食材は前日のうちに調達済み。準備万端。気合いを入れて野菜をカットした。
ニンジンを星型にかたどったり、サラダに添えるリンゴをウサギにしてみたり、普段は決してやらないことだけれど、祥平君を喜ばせたい一心で無我夢中だった。
まるで、彼氏を待つ彼女のように……。
しかし、ふと我に返る。
私、何はしゃいでるんだろう…。
ただのお礼なのに。ただそれだけのことなのに。私、おかしいのかな…。
少し虚しい気持ちが私を襲った。
ゆっくりとコトコトとカレーを煮込み、祥平君からの連絡を待った。
ご飯も炊き上がり、カレーは完成。私のドキドキわくわくは最高潮だった。
スマホの通知音が鳴った。時計を見ると12時半。予想通り祥平君からだった。
一気に緊張がこみ上げる。
もうすぐ電車降ります。
駅まで迎えに来てください。
少しお洒落をして、私はアパートを出発した。
最初のコメントを投稿しよう!