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15
祥平君の腕の中は、とても温かかった。このままずっと祥平君に包まれていたい、そう思う程だった。
「玖実さん、大丈夫ですか?」
ハッと我に返る。
一気に恥ずかしさが込み上げてきた。
「ご、ごめん!」
思わずパッと祥平君から離れた。
「や、やだなぁ、私ってばホントおっちょこちょいで…。いっつもこんな感じ。かっこ悪いでしょ?ゴメンね…。」
私は、耳まで真っ赤になっていく音を聞いた。
「そんな玖実さんも、可愛いです。」
…………えっ?
私はドキッとした。
“そんな玖実さんも”って…、それってどういうことなんだろう…。
瞬時にときめいた。
「あ…、そ、そうだ、カレー食べよ!祥平君座って!」
必死に動揺を隠しきろうとするが、隠しきれていない自分がいた。それがまたさらに恥ずかしかった。
ドキドキしながらカレーをお皿に盛り付ける。さっきのドキドキと、私の作ったカレーを美味しいと言ってくれるかどうかの不安のドキドキが、複雑に入り混じる。
「はい、どうぞ。お口に合うかな…。」
私は祥平君にカレーを出した。スープとサラダも一緒に出して、私は祥平君の向かい側に座った。
「うわー!めっちゃ美味しそう!いただきます!」
そう言って祥平君はカレーを一口食べた。
どうかな……。祥平君の反応が気になった。
「うん、最高に美味い!玖実さん料理上手ですね。」
私はホッとした。そして、祥平君と一緒にカレーを食べた。
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