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私はカフェラテを一口飲み、カップを静かにおいた。そして、心の中を打ち明けた。
「私、大学受験の浪人生なんです。どうしても行きたい大学があって1浪してます。合格するために、親の反対を半ば押し切ってわざわざ上京して有名予備校に通ってたんです、一人暮らしをして。それなのに、また落ちて……。」
私の瞳からはまた涙が溢れ、止まらなくなった。
「そうでしたか…、それは辛かったですね。でも、この1年間めちゃくちゃ頑張ったんですよね?偉いですよ。途中で投げ出さなかったなんて、ホント凄いことです。」
意外な返答に、私は少し驚いた。
「何か一つのことだけに真剣に打ち込むことって、なかなかそう出来ないもんですよ。ましてやそれが自分の夢を叶えるためだなんて、素敵じゃないですか。」
「でも……」
「きっとその夢は叶います。神様はちゃんと見てくれていますよ。ただ、叶うのが今ではなかっただけで、その時は必ず訪れるはずです。もし可能なら、あと一年頑張ってまた挑戦してみたらどうですか?4月からは俺も3年生で受験生だし、一緒に頑張りましょうよ。」
年下の彼は、私よりも数倍大人だった。そんな彼に励まされ、私の心は明らかに軽くなっていた。
「ありがとうございます。そうですね、あともう少し頑張ってみます。」
彼は微笑み、カフェラテを一口飲んだ。
「あの…、そういえば私、あなたのお名前聞いてなかったですね。私は井上玖実と言います。」
「俺は前田祥平と言います。稜徳高校の2年生です。来月から3年生になります。」
さっき出逢ったばかりなのに、心の距離がグッと近くなったような気がした。
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