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2.
「お義母さん、わたしもお料理手伝います」
息子の新妻が、台所に立った私にそう声をかけた。見れば、自分のカバンからエプロンを取り出そうとしている。
義実家での好感度の高い振る舞いを、調べてきたのだろう。
できた嫁だなぁ。
掛け値なしに、そう思う。
「いいのよ、料理はほとんどできてるの。じゃあ茜さん、洗い物は一緒にしてちょうだいね」
私がそう言うと、嫁は「はい」と素直に聞き入れて、浮かせた腰を椅子に戻した。
少し残念そうな、でもホッとした顔を──しているのだろうか、もしかしたら。
わからない。
私には、蝶の表情を読み取る技術がないからだ。
嫁の茜さんは、夜の蝶だったそうだ。それをあらかじめ聞かされていたせいか、私には彼女の姿が蝶にしか見えない。
夫と息子の言動から察するに、茜さんはかなりの美人らしい。確かに、息子よりずっと直視に耐える外見だと、私も思う。大きな目や渦巻く口をアップで見なければ。
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