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CLOSER 事件No.3 「箱庭遊戯」
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やけつく太陽の、表通りから路地裏に駆け込む男を、紬は追っていた。逃げる男は派手なシャツをひらひらとはためかせて、その後ろを追いながら色の暴力にめまいを誘う。
濃い影の中、バケツや空き瓶、なんのゴミかわからないものを蹴散らしながら男がかけていくが、男の右足が朽ちた電飾看板のケーブルにかかったのを、紬は見逃さなかった。
バランスを崩した男の腕と首元を掴んだ。抗う男を抑えようとする拳が数発、うめいた男が膝をついて紬は胸ぐらを掴んだ。
「さあて、案内してもらおうか。ーー地獄に」
薄いオレンジ色の瞳が、見下ろしていた。
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