CLOSER 事件No.3 「箱庭遊戯」

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「あ、どうもー。悪いね」 「ほんとですよ、ファイルくらい自分で取りに行ってくださいよ。なんでコントロール室にいる俺をわざわざ」 「そんな冷たいこと言わないでよ。だってさー、ここはエアコンちゃんがお休みしちゃってからこんな感じでしょ、君たちがいるコントロール室は冷えっひえの冷蔵庫並みだし、書庫のすぐそばなんだから。ケチケチしない。若いんだから、動く動く。おじさんはもうさーだるいのよ、動きたくないわけ。あれ、そういや紬ちゃんは」  書類を手渡しは赤城は用もないはずだが、パーティションで区切ったコーナー、給湯エリアの冷蔵庫にむかうと物色しはじめた。 「あー、あいつは自主的になんか調べ物だっつーてタブレット持ってどっか行きました。敷地内のどっかにはいるんじゃないすか。なんだー、アイスの一本もないのか」 「こら、勝手にとっちゃダメだよ、名前があるでしょ名前が。ふーん。自主的にねえ、なにか調べるようなことあったかな」 「ありませんよ、なーんにも。耳事件のあとはでかいのないでしょ。ナッシング。ふーんプリンか、まあいっか」  誰のかわからないが名前のないプリンをみつけた赤城は、スプーンを片手に自分の席についた。
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