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「大掛かりな窃盗事件は終了したけどね」
「そりゃそうなんすけど、俺の言いたいことわかりますよね?」
「まあ? 赤城君はそうか、もっと被害者が大勢いたり猟奇殺人事件のような、被害が明らかに深刻な事件を扱うべきだー、と。そういう訳かな」
「まあ、はい。課長とか上の人にはなんか考えがあるんでしょうけど、この間あの赤毛に聞かれて、そういやそうかなー、なんて」
呼び出し音が赤城の端末からあがり、会話はそこで終わりになった。調べかけていたリサーチの結果が出たアラートだと赤城がいい、食べかけだったプリンを流し込むようにして部屋を出て行った。
キィ、と背もたれに体重をかけた。
「なるほどね」
事件の足音は、その午後にやってきた。
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