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今日と明日
娘は旅行に行くらしい
誰とだなんて
父は聞けない
おそらく妻は知っている
妻にも聞けない
聞きたくない
台所に立つ妻の後ろ姿が
なぜだか今日は
いつもと違う
家事の邪魔になるからと
いつも上げてる髪だけど
なぜだか今日は目が離せない
きっと娘のせいだ
誰かと温泉に行く娘のせいだ
新婚時代
二人で行った温泉宿
妻はカラスの行水で
すでに窓辺で涼んでた
温泉に来た意味はあるのかと
思う気持ちも霧散する
月の光に照らされた
浴衣姿と結い上げた髪
抜いた衿から覗く先
うなじに残る後れ髪
匂い立つほど近くに寄れば
振り向く妻が微笑んだ
記憶の妻と重ねれば
あまり変わらぬ後ろ姿
思わず我が身を姿見に
映る姿は何だろう
愛娘の
後ろ姿を思い出す
楽しげに出かけた先で
待つ誰か
誰かだなんて聞きたくない
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