警戒心強めの少年騎士

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 ☆★☆ (よっと。ちょっと、横着しすぎたかも……!)  おぼつかない足取りで、セイディは騎士団の寄宿舎内を歩く。つい先日、魔法騎士団の面々の世話の期間が終わり、セイディはいつもの仕事に戻っていた。魔法騎士団の面々も悪い人はいな……かったと思える。少々リアムに苦手意識を抱いてしまったものの、それ以外は至っていい人たちだったと思う。変人の集まりでは、あるのだが。 (やっぱり、二回に分ければよかった……!)  目の前が見えないほど、籠に押し込んだ洗濯もの。セイディは今からこれを物干し場に干しに行くつもりだった。いつもならばリオやら誰かが手伝ってくれるものの、あと一ヶ月ほどでこのリア王国一のお祭り『光の収穫祭』というものがあるため、騎士たちはみなそちらの仕事の準備をしている。アシェル曰く、このお祭りの警護の準備は四十日ほど前から行われるらしい。それぐらい、騎士たちにとって一番大変な仕事なのだ。 (皆様お疲れっぽいし、私に何かできることがあればいいのだけれど……)  そう思いながら、セイディはまたおぼつかない足取りで歩く。目の前を覆うほどの洗濯もの、洗濯もの、洗濯もの。その所為で、セイディは前から誰かが歩いてくることに気が付くのが遅れてしまった。 「あっ!」  そんな声を上げ、セイディはその誰かにぶつかってしまう。それと同時に、洗濯ものが辺りに散乱する。……最近は、掃除を綺麗に行っているため洗い直す必要はないが、拾うのが大変だ。
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