静かな湖畔の森

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 男は肉人形の傍にゆっくりと近づき、その肩に手を乗せた。添えた手を肩から胸そして腰へと蜘蛛のように五指を這わせまさぐった。普段、皮膚の下に隠されている人の肉の部分を直に触っている。その事実は男の欲望をさらに一層、掻き立てることになった。男の鼻息は荒く、酷く興奮していた。  股座に辿り着いた手が剝き出しになった内転筋の筋を摘む。すると肉人形の身体は面白いくらいに大きく跳ねて、腰は揺れた。股座のペニスは上下に激しく揺れる。男は恍惚とした表情を浮かべ躊躇なくペニスを口に含んだ。男の咥内は目が痛くなるほどの赤色。 ――あぁ。愉しい。  木目調の床材には大量の血液が滴り落ち、血だまりができていた。先ほど男が窓を開けて煙草を吸ったにもかかわらず辺り一面、噎せ返るような鉄の錆びた匂いが充満している。匂いを発する原因を排除していないのだから当然のことだった。一時的に心地よい風が吹き込み、多少は匂いを攫ってくれたもののコテージ内は、またすぐに死臭で満される。
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