雨々さん

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        ぽつっぽつっぽつっぽつっ、あ〜めがふる〜♪    ぽつっぽつっぽつっぽつっ、血〜がし〜たる♪    残業も終わり、ようやく帰れると思っていたのに……、今日に限って雨々さんだ……。  雨々さんとは、真夜中の雨の日に、後ろから奇妙な歌を歌いながら近づいてくる、いわゆる都市伝説ってやつだ。    今、私の後ろには都市伝説がいる。普段の私なら、盛大に悲鳴を上げていたであろう。  しかし、今日は残業の日。私は疲れでイライラしている。今の私は、怖さより、イライラが勝っていた。  ずっとよく分からない歌を歌っている雨々さん。私の堪忍袋の緒が切れた。  「うるせぇわ! こっちは疲れとんねん! しばくぞわれぇ!」  「あっ、えっ」  「か! え! れ! 言うとんねん! ハッキリ喋られへんのか?! 出直してこいや!」  「あっ……、すみませんっ……」  すると、後ろの気配が消えてしまった。  あれ……、私、なにしてんやろ……? 怒鳴りつけちゃった……。罪悪感が湧き上がる。  「あー……、ごめんなっ! イライラしてたんよ! ゆるしてくれ!」  「全然構いませんよ……」    次の日の夜。  また歌が聞こえてきた。  ……というか、歌が変わってる。私の好きな歌なんやけど。  「あれー? この歌知ってるん?」  「はいっ。あのっ……、仲良くなりたくてっ……。勝手ながら調べてしまいましたっ……」  「そやったんか! ならはよ言うてよー。うちらなら仲良くなれるって!」  「あっ……、ありがとうございますっ……!!」    雨々さん。かわいすぎるで。    幽霊さん方は孤独なんやって。やから、私は雨々さんともっと仲良くなりたい。  出来ることは限られてそうやけどな。でも絶対仲良くなれる。そんな気がした。
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