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03 ルオヴィッツ村
初夜の翌日。
オルは狩りに行かず、俺がいつもやってる炊事仕事を全部やってくれた。
それから、お湯を沸かして隅々まで洗ってくれた。
相変わらず口数が少ないけど、甲斐甲斐しさに俺はにやけてしまう。
そういえば、昨日のあのゴリラ達はなんだったんだろう。
「は? 駆け落ち?」
昨日のゴリラ達は村の人達だった。
元々、オルの両親は麓にある村に住んでいた。
この山に住み始めたのは、お母さんのお父さんに結婚を反対され、駆け落ちしたからだった。
お母さんの妊娠が発覚して結婚を許されたのに、オルのお父さんが頑固を通して村に帰らなかったんだそうだ。
もっとも、山から麓の村まではオルの足で1時間程度だそうで、オル達家族は離れたところで暮らす村の住人扱いだったらしい。
お父さんは村に降りなかったけど、オルとお母さんは村と交流を続けていた。
だから、オルは村の学校に通えたし、狩りの仕方も教わったんだそうだ。
お父さんが亡くなってからはお母さんのお兄さん、カラウ伯父さんが後見人になっていた。
初夜の夜、お母さんを背に運んで行ってくれた人だ。
だけど、今度は、成人したオルにお見合いを薦めてきたカラウ伯父さんとオルが拗れてしまって、村との交流を絶ってしまったんだそうだ。
って。
お母さん病気なのに何やってんの、この父子。
頑固すぎるだろ。
「お父さんが亡くなったあと、村に降りればよかったんじゃないの?」
「母さんが……思い出の地だと」
お母さんが体調を崩したのも、お父さんが亡くなってからというし。
仲の良い夫婦だったんだろう。
オルのプロポーズがうまくいったから、お母さんはカラウ伯父さんのところで世話になることになったという。
多分、ここを離れたくなかったと思うけど、良い機会だ。
きちんと医者に診せてしっかり体を治した方がいいよ、絶対。
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