03 ルオヴィッツ村

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 それから半月ほどして。  俺達は村に住むカラウ伯父さんの家に結婚の報告に行った。  俺は甘く見ていた。  徒歩1時間っていうから、ハイキングの感覚でいたんだ。  まさか、オルの駆け足で1時間だったなんて。  歩いていこうとする俺を抱えて、オルが急に走り出した。  と思ったら、坂道の斜面を飛び降りるように駆け下りていったんだ。  悲鳴を堪えた自分を褒めてやりたい。きっと、声を上げたら舌を噛んでいただろう。  オルは身体能力がすごく高い。体も大きくて分厚い筋肉もついてるのに、瞬発力やスピードもある。  そんなオルが駆け足で山を下るんだ。  もう、気分はジェットコースターに乗ったようだ。  俺は1時間、ずっとオルの服にしがみついていた。死ぬかと思った。  多分、途中の記憶がないのは、意識が飛んでいたのだと思う。  村の名前は、ルオヴィッツ村といった。  休憩がてら中腹から見せてもらった感じでは、平屋が多くて牧歌的な村かに見えたのに、村に近づくにつれその大きさに面食らってしまった。  何が大きいって、家も大きければ村人も大きくてゴツい。男も女も、子どももだ。 「よぉ、オル! 聞いたぞ?」  オルを見つけて、暇そうにしていた門番2人が寄ってくる。  オルに抱っこされた俺より遥かに大きくて、俺は唖然と彼らを見上げてしまった。 「プロポーズ成功したんだってな! おめでとう!」 「これが嫁さんか? ちっこいなぁ!」  いや、あんた達がでかすぎるんだよ。  推定2mはあるオルよりでかいって、どういうこと?  でも、カラウ伯父さんの家に行くまでに、道を行く人達から口々に「おめでとう」と言われた。  村中が知り合いで親しいのかもしれない。  でかくて厳つくてゴリラみたいな人達なのに、気持ちが温かいんだな。    なんか、胸がほっこり来た。
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