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「オルは昔から、小さいものが好きだったからなあ!」
俺の隣に座ったカラウ伯父さんが、俺の背をバンバン叩く。
その度に俺の体がぐらんぐらん揺れるから、オルが向かいでハラハラしていた。
加減してくれてるのは分かる。
丸太みたいな腕で本気で叩かれたら、一発で死ねる自信がある。
痛すぎて背中が麻痺してきた。
広いテーブルの向かいに座った義伯母さんが、ニコニコしながら給仕してくれる。
俺の皿に料理を盛り付けてくれる腕の太さと筋肉をこっそり見た。
俺の太ももくらいは軽くあるな、オルと同じくらいだ。
どうやら、この村の住人は、女の人もこれくらいが普通なようだ。
俺はずっと、俺と同じ背丈のお母さんを、背が高い人だなって思ってた。
違ったんだ。
この村にとったら、お母さんは小さくて例外な人だった。
異世界人、怖い。
「プロポーズはなんて言ったの?」
義伯母さんがオルをからかうように小突く。
ドスンッて音がした。
「プロポーズはシンに先を越された。だから、一番大きな魔牛を狩って贈ろうと思った」
「んん?」
いくつか気になる言葉があったぞ?
俺が先にプロポーズしたって?
それに、魔牛って言ったよな?
「シンは『家を守るから狩りしてこい』と言った。妻が群れを守り、夫が餌を取る。同じ気持ちで嬉しかった」
「ん?」
「贈った獲物を屠っていいと言って、飯もくれた。初夜を受けてくれた」
あ、あー……。
あれ、そんな意味が。
そういや俺が大掃除するとき、「手伝おうか」って言ってくれたから「狩りしてきて」って言ったな。
牛も「新鮮な内に解体したら?」って意味だったんだ。
嬉しかったと繰り返すオルや、囃し立てる伯父さん達を前に言えなかったけど……。
そんなん、知らんがな。
聞けば、この村の男はプロポーズの際、獲物を狩って相手への貢ぎ物とするそうだ。
大きくて強い獲物ほど、男の甲斐性に結びつくという。
狩りの前に家長に宣言するんだが、オルはお父さんがいないから、後見人の伯父さんに宣言した。
適齢期を過ぎても結婚しないオルのことは、伯父さんはもちろん村のみんなが心配していて。
だから、交代で狩りを見守り続けて、プロポーズが成功したから感極まって飛び出してきたってわけだった。
あの熱いゴリラ連中にそんな意味があったのか。
そう聞くと、怖かったなんて言えない。
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