僕は彼女に実花(ミカ)と名づけた

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ひもつ、ふたつ、みっつ… 十輪の花が咲いた。 初めて梅の花を見た。 いや、違う。 今までにも見ていたはずだ。 気が付かなかっただけだ。 僕は周りが見えていなかった。 自分のことばかりで…。 都合の良いことしか見えていなかった。 お婆ちゃんは毎年梅の花を見ていたのかな… 翌日、梅の花は落ちていた。 「……」 何だか悲しかった。 お婆ちゃんが…一度ならず二度も亡くなったような気になった。 次の日、ツボミが三つ… また、花が咲いた。 今度は長く咲いてくれるかな… 僕は花が気になって早く目覚めた。 「梅の花は……あっ!」 カラスが梅の花を落としていた。 「コラ!」 慌ててカラスを追っ払ったが…梅の花は落ちていた。 「あのカラスの仕業だったのか!」 怒りが込み上げてきた! だが、どうする事も出来なかった。 二日後、僕は自分の目を疑った。 梅の花のツボミを見つけた。 「やったー!」 今度こそ、僕は花を守ると決意した。 カラスを近づけさせないと… 遠くでカラスがこっちを見ていた。 僕とカラスの戦いだ!
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