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解体が復興と呼ばれる地
ついこの間、実家が解体されたらしく、その時に何とか解体作業をして下さった方々が集めて来たという、たくさんのアルバムや通帳の類、インスタントカメラなどが大きな段ボールいっぱいに詰め込まれて、今住んでいる家へと送られて来た。
私は、私の育った家が取り壊されたと言うことを知らなかった。
何度か環境省の方(だったと思うのだが違うかもしれない。どこの誰なのか聞いていないのだ)が来て、何かを父と話していたりなんかしたのを見かけたりした。
きっと家を取り壊す日取りのことや、この土地がどうなるか、どうするか、などと言う話をしていたのかもしれない。
しかしそれは、私の知るところではない。
口出し無用であろう。
あの家は、とても横暴だったが、機嫌の良い時は私たちを可愛がると言う、とても自分本位で理不尽な、それでも自分なりの愛し方を必死でして来たであろう父が、一生懸命日々勉強し、資格を沢山習得し、朝早くから夜遅くまで働いて、やっとの思いで建てた夢の城だったのだ。
あの、上棟が終わり、餅まきをした日のことを私は覚えている。
たくさんの菓子や小銭を包んだ紙が投げられ、それをはしゃいで拾い、近所の友達や従弟と分けっこをした、幼い日を。
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