6月30日、雨

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6月30日、雨

 しずくが屋根を打つ音で目が覚めた。  雨が降っている。そのことに気が付いた時、圭の心は遠足の朝の子供のように跳ねた。  今日は、あの人に会える。  ベッドから起き、手探りで着替えを済ませ、壁伝いに部屋を出る。顔を洗い、朝食を食べ、歯を磨く。  雨音に包まれながらのルーティーンは普段より心地良い。  朝の支度を終え、一階の店舗フロアに下りる。圭の家は代々本屋を営む家系で、今は彼の父が責任者となっている。  生まれつき目の見えない圭は先日大学を卒業し、今は実家で店を継ぐ勉強をしている。  レジ仕事中心だが、昔からよく手伝いをしていたためもうすっかり慣れた。  白杖片手に開店準備を整え、レジ内の丸椅子に座る。  近くの大学のチャイムが鳴っている。  今頃授業が始まったところだろうかと、圭は愛しいあの人を想う。
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