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「こんにちは本村さん。今日はお買い物じゃなく、挨拶だけ」
囁くような声は先輩に聞こえないよう気遣ってのことだろう。ゾクリと身震いするほど甘いそれは、もう圭のものになることはない。
「実は付き合うことになって、今からお家デートなんです。本村さんはたくさん相談に乗ってくれたから、一番にお礼を言いたくて」
「おめでとう。力になれたかはわからないけど、上手くいって良かったよ」
思ってもない言葉は声が震えて上手く発せなかった。もしかしたら彼女にすら見抜かれたかもしれない。
だけどそんなことはもはやどうでも良かった。
そして、悲劇はまだ終わらない。
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