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19時半。閉店時間が迫った店内に客の足音はなく、聞こえるのは圭の啜り泣きだけ。
結局、圭は最後まで臆病者だった。
慰める資格が無いなんて言い訳して、本当は自分の力で南さんを幸せにする自信が無かっただけ。
好意を伝えることもできないまま、磯貝さんに全て押し付けて逃げてしまった。
そんな自分が情けなくて涙が止まらない。
次の雨の日、自分は今まで通り作り物でない笑顔で南さんと話せるだろうか? 正直、自信は無い。
あんなに好きだった雨音が嫌いにそうだと、嗚咽混じりの溜息を吐いた。
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