6月30日、雨

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 15時半。あの人が来る16時までまだ少し時間がある。  決して仕事が退屈なわけではないが、雨の日は時間の経過がどうしても遅く感じる。  暇潰しに周囲の音に聞き耳を立てる。しとしとという控えめな雨音に、店内を歩く足音がちらほら。  まず、この気怠そうな革靴は常連のサラリーマン。  よく店先で「今ちょうど営業先です」なんて険しい声で電話しているが、うちの店が彼と取引をしたことは今のところない。  次に、バタバタ忙しない6つのローファーは仲良しJK3人組。  きゃあきゃあ賑やかな彼女らは、参考書コーナーによく居るあたり意外と真面目なのだろう。  あっちのヒタヒタと静かに歩くスニーカーはこれまた常連さん。  レジ横の男性誌コーナーが定位置でおそらく男性だと思われるが、実は一度も本を買ってくれたことはなく、圭は未だ彼の声を聞いたことがない。  こうしてみると、この小さな店は常連たちによってに支えられているのだと改めて感じ、圭はふっと目を細めた。
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