12人が本棚に入れています
本棚に追加
『あ!そうですよね。私、南凛々花です。名前も名乗らずごめんなさい。まこちゃん』
[まこちゃん]という呼び名に僕は思わず通話ボタンを押していた指を離してしまった。
南凛々花が何か言っている。だが僕はその画面を見ずに玄関に行き、ドアを開ける。その前に尻ポケットにスマホは入れておいた。一応、念の為に。
開けると南凛々花と目が合い、彼女は僕を見てハッと息を呑んだ。そして何故か目を潤ませる。
「・・・会いたかった」
すると彼女の目から涙がポロポロと落ちる。
・・・何なんだこの子。
とんでもない殺し文句を言われ、僕は思わずしゃがみ込む。
「だ、大丈夫ですか?」
彼女もしゃがみ込み、涙目で顔を覗き込んでくる。
「大丈夫って・・・。君のせいだよ、会いたかったとか・・・」
彼女はどういうことか分かったようで、少し顔を赤くする。
「ご、ごめんなさい!とっ、とりあえずお誕生日おめでとうございます!プレゼント、ここに置きますね!さよなら!」
「あ、待って!1つだけ聞いていい?君の知り合いは、僕のばあちゃん?」
走り去ろうとしていた彼女はピタリと足を止め、振り返る。だがニコッとするだけで何も言わずに去っていった。
最初のコメントを投稿しよう!