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「初めて見る顔だけど、帰省中かしら?」
お盆休み中だから旅行者だと思ったんだろう。
「あ、いえ違います。近所に住んでます」
チラッと南凛々花を見るがこちらを見向きもせずコーヒーの分量を量っている。
「あら、そうなの!こんなイケメンが近所にいたなんて。これからもここにいらっしゃってね」
「あはは・・・。どうも」
イケメンなんて初めて言われた。返し方が分からない。
「ねぇ、凛々花ちゃんも彼、イケメンだと思わない?」
彼女の反応が気になり見ると彼女も僕を見る。しばらく僕を見た後、彼女が目を逸らす。
「・・・優しそうな人だとは思います」
えっと・・・、褒め言葉として捉えていいのかな?
そんなことを考えている間にお婆さんから矢継ぎ早に色々と質問される。それに答え一段落してカウンターに置かれた水を飲む。
ふぅ~として顔を上げるとカウンター越しに彼女と目が合う。僕はドキッとしたが、彼女は無表情で聞く。
「ご注文は」
「あ」
そうだ。ここに来て水だけ飲むのは失礼だ。カウンターに立てかけてあるメニュー表を取る。パラパラと捲って考える。
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