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「ねぇ、その神様って何?ばあちゃんは僕が助けたところを凛々花が見たって言ってたけど」
「見た、というより当事者です。あたし」
「え?」
「去年、家族で外出したデパートで弟が迷子になったんです。そしてあたしが見つけたとき弟の隣には真さんがいました」
確かにあった。小さい子が一人でいて気になって声をかけた。結構しっかりした子で『迷子になっちゃった』とか言ってたな。ウロウロするよりこの場所を動かない方がいいと思って『お話でもして待ってみようか』と言った覚えがある。
「あたしが見つけたとき、弟は泣くどころか笑顔だったんですよ。それにあたしの不注意で真さんに怒られるって思ったんですけど『見つかってよかった。弟さんいい子でしたよ〜』と言って笑って。真さんの笑顔にあたしの心は温かくなったんです」
そんな真さんは神様です、と付け足してくれた。
「そうなんだ。でもあの時のお姉さんが凛々花?今と結びつかないんだけど」
「そうですね。あの時のあたしは帽子被ってメガネ掛けて、髪の毛も長かったですからね」
今の凛々花はショートボブでメガネも掛けていない。
「しばらくして真さんのおばあさんと知り合ったんです。そこで真さんの好みを聞いて合わせてみました」
「僕の、ために?」
「はい。かなりのイメチェンでしたけど」
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