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フライパンで鶏肉とネギを炒めていた凛々花は火を止め、皿に盛り付ける。そして、コンロにフライパンを戻したところで僕は後ろから彼女を抱きしめる。
「何だよそれ、嬉しすぎるだろ」
「・・・あたしは真さんと付き合えて嬉しいですよ」
もう敬語とかどうでもよくなった。
「好きだよ、凛々花」
「あたしも好きです、真さん」
後ろから抱きしめたまま僕は凛々花の髪にキスをする。そして彼女の肩に頭を乗せてしばらくそうしていたが、彼女が僕の腕を軽く叩く。
「あの・・・、料理冷めちゃいます」
確かに。焼き鳥のいい匂いが漂ってくる。
「・・・そう、だね」
僕は抱きしめていた腕を離し、でも名残惜しくてその場を離れる前に凛々花の頭をポンポンと撫でて僕はお皿を机に運ぶ。
「なんか真さんが急に甘くなった・・・」
「ん?凛々花が可愛いこと言ってくれるからだよ」
凛々花が顔を赤くして他にも何かブツブツ言っている。それでもテキパキと梅酒を持ってきて、それをグラスに移し替えて渡してくれる。
「ありがとう」
乾杯をして、ばあちゃんのお願いの梅酒と焼き鳥を食べながら思い出話をして盛り上がる。
そしてしばらく飲んだあと隣に座る凛々花が僕に凭れ掛かる。
僕と凛々花には沢山の偶然が重なって今がある。そして僕らを繋げてくれたばあちゃんに改めて感謝しながら凛々花を見ると、凛々花も僕を見る。そしてどちらからともなく微笑んだ。
〜『僕の夏の日の奇跡』その後の2人 完〜
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