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幼少期、
『なつちゃん、痛いは気持ちいいのよ。だから将来、殴ったり叩いたりしてくる人がいてもそれは愛であって気持ちいいものだからね。お母さんはね、お父さんに首を絞められたの。死にそうなくらい苦しくて。でも、愛を感じたわ』
嬉しそうに話す母に、いつしか痛いのは気持ちいいことで、痛めつけてくる人は愛してくれてる、なんて思うようになってしまった。
それを信じ始めた当初は母以外愛してくれる人はいなかった。
母は「これは愛よ」と言って夏真を縛り付けたり鞭で打ったりした。
高校生になった夏真は、あれが愛ではなかったと分かっているが、痛みに依存した体は痛みをひたすら求め続けた。
小学生の頃は腕や足をつねったりするだけだったが、中学生からエスカレートしていき、思春期を迎えた夏真は性的な痛みを求めるようになった。
「…愛じゃねぇし、痛みとか。愛ってなんだよ」
母を狂わせた父親に似てしまったレディシュと呼ばれる髪色が嫌で派手な色に染めた。
母は父親に似た髪を褒めてくれていたから、もちろん反対された。
だが、夏真にはそんなこと関係なかった。
狂った親にこれ以上人生を狂わされてたまるか、と。
「早く、あいつ出ていかねぇかな…」
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