好きなもの尻取り

1/1
前へ
/47ページ
次へ

好きなもの尻取り

「夏真くんの好きな物尻取りスタート。と、だよ」 手を繋いで幸せな時間を過ごしていて、ふと言われた言葉。 夏真はとっさに唐辛子と答えた。 「えぇ、本当?」 誠は笑っているが、嘘である。 甘党である夏真は辛いものが苦手だった。 それも、カレーの中辛は無理だか甘口はいける微妙なラインだ。 「し、早く。俺にも誠の好きなもの教えてよ」 嘘なのを誤魔化す必要は無いが、誠の好きなものが気になったのは事実だった。 「し、かぁ。あ、シロナガスクジラ。かっこいいのに可愛いから好きだよ。」 「…ふーん。ラズベリー」 好きな物、が誠の口から出てきたことがつまらなくて、口をとがらせてそっぽを向いた。 「り、かぁ。うーん…あ。こんなのはどう?りはつかないけど花守夏真くんが世界一愛してる」 「うっ、なんでお前はそんなにっ…る、るはつかないけど、山中誠を世界一あい、愛してる…」 周りの目なんか気にせずに、校門を潜りながらそんな甘ったるい尻取りをした二人だった。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加