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好きなもの尻取り
「夏真くんの好きな物尻取りスタート。と、だよ」
手を繋いで幸せな時間を過ごしていて、ふと言われた言葉。
夏真はとっさに唐辛子と答えた。
「えぇ、本当?」
誠は笑っているが、嘘である。
甘党である夏真は辛いものが苦手だった。
それも、カレーの中辛は無理だか甘口はいける微妙なラインだ。
「し、早く。俺にも誠の好きなもの教えてよ」
嘘なのを誤魔化す必要は無いが、誠の好きなものが気になったのは事実だった。
「し、かぁ。あ、シロナガスクジラ。かっこいいのに可愛いから好きだよ。」
「…ふーん。ラズベリー」
好きな物、が誠の口から出てきたことがつまらなくて、口をとがらせてそっぽを向いた。
「り、かぁ。うーん…あ。こんなのはどう?りはつかないけど花守夏真くんが世界一愛してる」
「うっ、なんでお前はそんなにっ…る、るはつかないけど、山中誠を世界一あい、愛してる…」
周りの目なんか気にせずに、校門を潜りながらそんな甘ったるい尻取りをした二人だった。
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