離れたくない。

1/1
前へ
/47ページ
次へ

離れたくない。

「おい。そこ変わってくんない?」 教室に入り、自分の席に行こうとした誠を見て夏真は慌ててついて行った。 そして、誠の席の隣で楽しそうに話していた男に声をかけた。 頼むから変わってくれ、なんてらしくもなく願いながら優しく声をかけたつもりだった。 「す、すみませんっ」 優しく声をかけたつもりだったが、声をかけた瞬間鞄やらを持って走っていった。 礼を言うために夏真はそのままついて行った。 「席変わってくれんの?ありがと。あと、話してんの邪魔してごめんな」 「えっ」 気分のいい夏真は、花畑にいるかのような優しい笑顔を見せながら礼を言った。 「夏真くんっ!俺以外にそんなに可愛い顔見せちゃダメだよ!」 すかさず入ってくる誠に、夏真は「愛してんのはお前だけだよ」と笑って誠の手をひいた。 ルンルンと、隣合った自分達の席へ向かったのだった。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加