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離れたくない。
「おい。そこ変わってくんない?」
教室に入り、自分の席に行こうとした誠を見て夏真は慌ててついて行った。
そして、誠の席の隣で楽しそうに話していた男に声をかけた。
頼むから変わってくれ、なんてらしくもなく願いながら優しく声をかけたつもりだった。
「す、すみませんっ」
優しく声をかけたつもりだったが、声をかけた瞬間鞄やらを持って走っていった。
礼を言うために夏真はそのままついて行った。
「席変わってくれんの?ありがと。あと、話してんの邪魔してごめんな」
「えっ」
気分のいい夏真は、花畑にいるかのような優しい笑顔を見せながら礼を言った。
「夏真くんっ!俺以外にそんなに可愛い顔見せちゃダメだよ!」
すかさず入ってくる誠に、夏真は「愛してんのはお前だけだよ」と笑って誠の手をひいた。
ルンルンと、隣合った自分達の席へ向かったのだった。
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