神様のいたずら

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神様のいたずら

『ホタルと言います。よかったら、友達になりましょう』 『返事ありがとう。ウミって呼んでね。ホタルは、この公園よく来るの?』 『学校行く前に、毎日寄り道してます。海賊船は、私の秘密基地なの。ウミちゃんは?』 『この前、初めて来たよ。ここ、いいね。全ての音が遮断される』 『そうなの。1人になりたい時に、とってもいい場所です』 『わかる。たまにあるよね。全部リセットしたくなる瞬間。テストで赤点取った時とか、笑』 『ウミちゃん、もしかして中学生ですか? 私は、15才の中学3年生です』  海賊船の遊具に潜り込んだら、慣れた手つきで、天井に貼り付けられた封筒へ手紙を入れる。  登校前に公園で寄り道をするのが日課の私は、一週間前にメッセージを見つけた。『友達になりませんか』という文字に惹きつけられ、返事を書いた。  気まぐれと言ったら、そうなのかもしれない。小学生の単なるいたずらだと、半分は本気にしていなかった。新しいメッセージが貼り付けられるまでは。  何度か手紙の交換をするようになって、朝が楽しみになった。お互い顔も本名も知らない。だけど、歳は同じで話しやすい。  字がきれいだから、私の中では勝手にお姉さんのようなイメージを持っている。 『そういえば、ホタルはどこ中なの?』  返ってきた質問に、ペンを持つ手が止まった。  言わないといけないかな。あまり知られたくない。  ナイショと書きながら、どこか不安になる。この返答は、気分を害すかもしれないって。  紙一枚で繋がった友情なんて、いつ壊れてもおかしくない。  相手に不信感を抱かれたら終わり。お互いに顔も名前も知られたくないから、間接的に話しているのに。  それでも、会ってみたい気持ちが強くなってきた。それは、最近の彼女からも感じられる。
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