11人が本棚に入れています
本棚に追加
「初めてましてー! 伊波です。お邪魔しまーす」
訪ねてきたのは、黒髪が爽やかな男の子。可愛らしい顔をくしゃっとさせる彼は、天王中学校の三年生で、宮凪くんの友達……だったらしい。
──アイツとは仲直りしたかったな。
宮凪くんのつぶやいていた言葉が気になって、空さんへ確認した。小学生の時に親友だった子と、ちょっとした事情で今は疎遠になっていると教えてもらった。
「いや〜、春原さんとは何回かやりとりしたけど、まさか友達の家に来ることになるなんて。女子二人に囲まれて、すげぇ緊張するんだけど」
「そんな風には見えないけど。てか、うちよく分かったね。春原さんでさえ、結構迷ったらしいけど」
「余裕っすよ。何件か表札ガン見して、不審者に間違われたけどね」
テンポよく飛び交う会話に、相槌すら打てなくて一歩後ろへ下がってしまう。真木さんがいてくれて、心底安心した。私一人では、間が持たなかっただろう。
「で、頼まれてた寄せ書きと、ついでにオレも五十個折って来た」
隙間なくぎっしりと書き込まれた色紙とテーブルに置かれた鶴に、真木さんとひしと抱き締め合う。
早く宮凪くんへ渡したくて、うずうずしている。
最初のコメントを投稿しよう!