【証明】

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「……少子化のためですか? これを開発したのは」  彼女を得るのに成功したのに浮かない顔をする男を、理解できない様子で白衣は肯定する。 「そうですよ。この国は未婚率が上がり、出生率は下がる一方だ。国家としての危機は高くても、個人の婚姻関係を結ぶとなると、様々な障害がある。  その中で、もしも運命の人と出会えなくて、配偶者を見つけ損ねているなら、運命をつくるしかないですよね」  淀みなく説明する白衣に、国の研究機関の建物の一室で男は溜息を漏らした。複雑な気持ちを抱えたまま、うまく返事も出来そうもない。 「罪悪感を感じてらっしゃらなくてもいいんですよ」  申し訳なさそうな声を発し、白衣の人物が男の手を両手で包んだ。  手のひらは冷たく、無臭だった。  白衣から伸びるプラスチックの手と繋がった次の瞬間、彼女の手の感触や温度、匂いまで細やかに男の脳が再現し始めた。 「ごめんなさい。私の手は温かみがないから、慰めにならないですね」  白衣姿のAI人形に、いいえ、と力無く男は微笑み返した。  ああ、唾液を吸い突くすほど彼女とキスしたい。  ドキドキが全身を駆け巡り、男の体の芯が火照っていった。                                      了
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