忍び

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忍び

山を飛び、谷を越え、私たちはこの国にやって来た。私はくノ一と呼ばれる忍者だ。一族の頭領を務めている。 私たちはある人物から暗殺依頼を受けた。その任務を遂行するのだ。暗殺対象者はこの国の女王。ただし、女王は人間ではなく、スライムである…。我が一族の再興のためには依頼を選んでいる余裕はない! まずは対象者を調べ、暗殺計画を練らなければならない。今夜、私たちは城に忍び込んで情報収集する予定だ。 丑三つ時、私は選りすぐりのメンバー2名を引き連れて城の内部に侵入した。誰もが寝静まっている。私は用心のために気配を完全に消していた。誰にも気付かれることはない。しかし、背後から…。 トントン。 突然、私は肩を叩かれた。こんなときに何の用事だろうか。同行している2人のほうを振り返る。だけど、そこに人はいなかった。代わりにゾンビがいたのだ。 「ひゃっ!」 私は大声を上げそうになったが、どうにか耐えることができた。軽く悲鳴は出てしまったが…。 びっくりして心臓が止まるかと思った。私に気配を感知させないとは恐るべきゾンビだ。 私はすぐに冷静さを取り戻すと、仲間の2人を探すために周囲を見渡した。すると、数m後方に2人はいた。ユラユラと揺れるゴーストに捕えられていたのだ。ゾンビだけでなく、ゴーストもいるのか! トントン。 再び私は肩を叩かれる。さっきのゾンビだ。今度は相手と距離を取るため、素早く跳躍する。着地する寸前でヒュヒュと連続して手裏剣を投げる。手裏剣はゾンビに命中した。「やったか?」 だが、ゾンビの体に当たった手裏剣は、そのまま体の中に吸い込まれていく。 「なんだとー!」 私は続けて手裏剣を投げたが、どれもゾンビの体に吸収されていった。 「なんてことだ!」 私は呆然とゾンビを見つめていた。
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