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ああ、朝から気になってたんだよね。この寝癖。
わたし的にはとっても可愛いくて萌えるんだけど、本人は教えてもらった方がありがたいんだろうな、と思いつつ、なんて言ったら良いかわかんなくて、結局放課後っていう…
でも…
「あ、あのさ、多根君」
多根君は奈穂の呼び掛けに、上目を上げる。
ひっ、かわよ。上目遣い反則…!
奈穂は両手で顔の下半分を覆いながらも思いきって言ってみた。
「ね、寝癖ついてる。直す?」
「へ…」
多根君はキョトンとしている。
「朝から気になってたんだ。旋毛の髪がね、ピョン、て立ってるの」
多根君はそっと頭のてっぺんに手を伸ばす。
「そうなの?全然気が付かなかった。恥ずかしいじゃん?!」
奈穂は鞄から寝癖直しミストを取り出して机に置いた。
「言ってあげた方が良かった?」
「うん…なに?俺ずっと寝癖を佐伯さんに見られてたの?朝から?」
多根君は机に突っ伏してしまった。
「えっと、今更だよ?多根君。結構な頻度で旋毛付近は跳ねてるよ?でも、多根君は背が高いから見えてない人も多いと思うよ!」
「…だけど、佐伯さんには見えたんだ」
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