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「あの……すいません。島田柚希ってまだですか?」
病棟かその待ち合いで待つように言われていた私たちは病棟に戻ってナースステーションに連絡がないか尋ねる。
「あ、そうですね!もう終わってるはずなのに……確認しますね!」
パタパタと慌てて走っていき、話し合っている姿が見えた。
「まだ終わっていないそうなのでお待ち頂けますか?」
……まだ手術中なの?
私たちは近くのソファーに座り込んで同じ階にあった息子が居るはずのドアをぼんやりと眺める。
ただの自動ドアではなく、木のアーチのように立体的に作られた一際かわいらしいドアを。
「……一時間だったはずなのに、もう二時間だよ?」
「さすがに長いよな。何かあったのかな……」
どうしたって嫌な想像ばかりしてしまって座ってもいられなくなる。
三階だったそこからも吹き抜けのロビーがよく見えてカラフルなロビーからは明るい声も響く。
子供専門病院には多くの子供たちの笑い声と手を引いたり抱っこをする親たちがあちこちに居た。
「簡単な手術だって言ってたよね?」
先生からもらった手術の説明が書かれた紙、図を描いて説明されたそれらを眺める。
「そのはずなんだけどなぁ……」
心臓はうるさいを超えてやたら痛む気がした。
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