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バイタルを……と言われても腕を振り払う息子。両腕を必死に私との体の間に隠して縮こまる。
「本来なら術後ここで麻酔から覚めてもらってゆっくり様子を見てからお母さんに来て頂くんですが……」
私以外は拒否する息子には確かに無理そうだった。
「すぐに目が覚めてこの状態で……」
聞きながら謝ると逆に謝り返される。
「詳しい話はまた医師のほうから説明させて頂きますが、長くなってしまったので心配でしたよね。すいません。お声掛けできずに」
「いえ、ありがとうございました」
ただ、息子を抱き締めてゆっくりその背中を撫でた。
「頑張ったね。もう大丈夫だよ?」
「ママぁ」
「ん?」
「ぎゅーいいの」
「うん、もうずっとギューってしてるから大丈夫」
しばらくして旦那も看護師に連れて来られる。
「あー……元気そうで、よかったなぁ……頑張ったんだなぁ……」
ホッしたようにベッドの柵に手をかけた旦那に息子の顔を見せた。
私が呼ばれた後も一人で待つだけだった旦那はどれだけ不安のだっただろう。
「抱っこしてあげる?」
「いや、いいよ。あんなに呼んだんだから、ママがいいだろ?抱っこしててやって」
しがみつく息子の頭を撫でて旦那は少し泣きそうな顔で微笑んだ。
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