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その日、私はFと一緒にバスに乗っていた。
Fの家が駅からバスに乗らないと帰れない場所にあるため、あの当時はよくバスに乗った記憶がある。
その日は大雨で、二人ともビニール傘を雑に丸めて持ち、その傘の先から垂れる雫がバスの床をツーっと流れるのを見ていた。
Fの使うバス停までは駅前からバスに乗って十分足らずだが、その十分でバスに酔う。
その線の運転手は皆、運転が荒い。
慣れているFは平気そうに音楽を聴きながら目を閉じている。
当時はカセットテープが主流で、私もFも色々な音楽をカセットで聴いていた。
バス停に着くと、Fと私は急いでバスを降りて、近くの家の軒下に走る。
その間に既にビショビショになる。
「何か酸性雨とかで、雨に濡れると禿げるらしいで」
なんてFは言っていた。
そこから傘を差して、Fの家まで坂を下る事になる。
コンビニなども今程は無く、途中の自動販売機で缶ジュースを買い、それを飲みながらFの家まで歩いていた。
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