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「煌先輩?」
「ん?」
「今日も彼メガネ、しますか?」
「おう、するする。お前がかけてくれ」
「相変わらず、俺の眼鏡が似合いますね……大好きですよ」
とっくに日付が変わった深更の時間。俺の一番の宝物が、テンプレの無表情を崩して手を伸ばしてきた。肩に浴衣を羽織っただけの艶かしい姿で、小さな笑みを見せている。
静かで甘くて、激しくて熱い、年下の恋人。俺の至上。俺の幸福。俺の最愛。それが、ここにある。
全てが、土岐奏人という人間の形に集約されているんだ。
そして、人はそれを何と表現するのか、俺はもう知っている。
「俺が何でも似合うのは、とことんかっこいいからだから仕方ねぇ。けど、お前の眼鏡がめちゃ似合う理由は、俺たちが魂で繋がってる運命共同体だからだ。つまり、この先の一生、何があっても離さねぇから覚悟しとけ」
——人はそれを、運命の相手と呼ぶ。
−Fin−
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