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「なるほど。了解した」 「先輩?」 「じゃあ、今すぐ脱げばいいってことだ。お互いに」  惚れ込んでる恋人の可愛い発言は、俺の思考を簡単に蕩けさせた。相手の希望を叶えるべく、さっさと帯を解く。 「ぁっ」  もちろん、俺をおかしくさせた恋人の浴衣から先に剥ぎ取るのは、紳士としての礼儀だ。そして、キスの再開。 「今日も可愛い。なぁ、名前、呼んでくれ。『先輩』は無しで」 「煌、さん……好きです」  俺がねだったのは名前を呼ぶことだけ。が、その後に思いがけない褒美も付け加えられた。何だ、これ。可愛いの暴力かよ。最高だ。 「お前、そういうとこだぞ。今ので、なけなしの理性が残らず剥がれ落ちた。もう、花火を観る余裕は与えてやれない」  再び密着した身体から伝わる熱と、吐息ごと与えあう唇と舌の熱。それらを共有し、喰らいつき、貪る。  濃密な口づけで、頭がクラクラする。まるで酸欠になりかけているような感覚だ。混じり合う呼気の熱は、抱き合う二人の全身にあっという間に行き渡る。  キスするのに邪魔な眼鏡を奏人から奪ってやった。すると、熱に浮かされたかのような蕩けた表情が真正面から突きつけられた。知らず、喉が鳴る。  やべぇ。めちゃ色っぽい。  怜悧で淡々と。常に落ち着いた印象が付き纏う恋人が、今は全く違う姿を晒している。頬を上気させ、とろんっと潤んだ瞳で目線を合わせてくる。 「煌、先輩?」  自分だけを見ている。自分にだけ、他の誰も知らない、可愛い顔を見せている。  やべぇ。堪んねぇ。ゾクゾクする。 「奏人っ」  煽り上手な恋人に、一気に身が沸騰した。  腹の奥で燻っていた熱が、出口を求めて暴れ出す。もう、止まらない。止められない。
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