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「ん、ふっ」  舌を絡め、何も身につけていない身体に狂おしく手を這わせる。  バスケ部は引退しても剣道の稽古は続けているせいか、手のひらに触れるのは鍛えられた筋肉。ただ、肌の質は、なだらかで滑らか。硬い筋肉と一緒に感じる、この手触りが堪らない。  ついでに言えば、向かい合った体勢で触り放題の尻の薄い丸みも好みだ。それから——。 「あっ、そこっ? また噛むんですか?」 「いや? 歯は立ててない。優しく舐めてから、唇で挟んで引っ張ってるだけだ」 「そんな実況は、要らない、です……あ、ぁっ」  胸の粒をちょっと可愛がってやるだけで良い声を聞かせてくれるから、ここだけをずっと弄り倒してやってもいいとも思う。 「煌、先輩……先輩っ」 「あぁ、うん。わかってる。俺も同じだ。かなり、きてる。遠慮なく、がっつかせてもらうぞ」  けど、正直、もう限界が近い。久しぶりの行為に、我慢が振り切れてるせいだ。  早速、本能のままに体勢を入れ替える。対面から奏人ごと身を倒し、覆いかぶさる体勢へ。大きなストロークで、突き上げるスピードを上げるためだ。 「あ、ああ……ぁっ」  掻き抱いて、激しく律動を繰り返す。熱い喘ぎを漏らし続ける唇を塞ぎ、俺の想いを呼気と一緒に送る。  愛してる。どれだけ遠距離恋愛が続いても、お前は俺のものだ。誰にもやらないし、渡さない。一瞬のよそ見も許さない。  黒くて深い独占欲の沼に、ずっと沈めていてやりたいと思ってる。 「んぁっ……煌、せんぱ、っ……」 「奏人っ」  絶頂に到達した証の震えと、甘く掠れた艶声。俺が引き出したそれに満足しながら、奏人の最奥へ快感の熱を吐き出した。ゴムを装着したままでも、奏人の中は俺を蕩かせるように熱くうねっている。  一緒に官能を追いかけてくれた可愛い恋人の唇に、一言では言い尽くせない想いを込めて、キスで届ける。  あぁ、幸せだ。俺、生まれてきて良かったよ。マジで。  母さん、奏人と同じ時代に産んでくれて、ありがとう。  顔も知らない実の父にも、この感謝が届けばいいな。
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