煌星から愛をこめて

２

「それにしても、まさかキャンピングカーを購入していたとは思いませんでした。驚きました」

「悪くないだろ？　それに、今夜のために買ったのは事実だが、コイツはこれからも活躍予定だ。これなら、どこに二人で遠出しても、そこまで人目を気にすることもないと思ったんだけどな」

　今夜の花火デートは、俺が中学までばあさんと暮らしてた千葉の海岸が会場だ。最初は海沿いのホテルをとることも考えた。が、もっと気兼ねなく二人きりの時間を楽しめる方法はないかと模索した結果のキャンピングカー購入だった。

　今年になって、ばあさんと住んでた家の名義を俺に変更したから、車庫証明も問題ない。

　引退まで京都のチームでプレーできる保証なんて無いから、関東に自宅と車があるのは、アリだ。

「八人乗りのバンコンだし、二人なら余裕で寛げる。使い勝手は悪くないはずだ」

　買ったのは、いわゆる、ひと目でキャンピングカーとわかる車種じゃない。ワンボックスカーがベースで、内装だけをキャンピングカー仕様に改造したものだ。バンをコンバージョン(改造)しているから、バンコン。

　バンコンの何が良いって、普通車だから一般の駐車場が利用できる。今夜のように、海岸の駐車場に停めて、車内から花火見物するのに何の規制も無い。

　素材と座り心地にこだわって指定したコの字ソファーでゆったりと寛いでのラブラブ花火鑑賞。今夜の俺らには最適な空間なのだ。