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世界は闇に呑み込まれつつある。悪の組織『シャドー』が地球を侵略しているのだ。しかし大丈夫。地球には四十年以上に渡って『戦隊ヒーロー』が悪を成敗してきた。今回も最新の『神獣戦隊・ネオアニマルズ』が地球を救ってくれるはず。さあ、みんなで呼ぶんだ!行け、ネオアニマルズ!!!
――ネオアニマルズ本陣。
「どうするんだよ?レッドがいなきゃ戦えないだろ」
テーブルを囲む現役戦隊のネオアニマルズ。隊員はブルーグリフォン、イエローユニコン、グリーンドラゴン、ピンクバジリスクの四人だ。この戦隊、レッドが不在なのである。最強を誇っていたレッドフェニックスは数ヶ月前に、最凶の怪人ダークネスエンドによって闇に呑み込まれた。
「レッド候補たちも消されてしまったしな」
悪の組織シャドーは、これまで悪が栄えなかった理由を分析していた。それは『レッドの存在』だった。戦隊ヒーローにレッドがいる限り悪の組織に勝ち目はないと考えたシャドーは、ダークネスエンドを使って地球からレッドの芽を摘んでしまったのだ。
「そのことだが、実はアテがあってな」
そこへ司令官の大男タイタンが一人の老人を連れてきた。白髪混じりのほんわりとした雰囲気の優しそうなおじいさん。
「彼は赤坂銀造さんだ。皆の大先輩で、初代戦隊ヒーローのレッドを務めていた」
おじいさんは、どうぞよろしく、と頭を下げた。
「久しぶりに袖を通したわぃ」
赤坂銀造は赤と黒の混ざったヒーロースーツに着替え、ネオアニマルズに加わった。どうやら初代の戦隊ヒーローも動物をオマージュしたものらしい。
「いや…赤っていうか、朱色だよな?色褪せてないか?」
と、ブルーグリフォンは苦笑する。
「それに、これはパンダ?赤いパンダだよな?」
レッドの袖を引っ張るグリーンドラゴン。
赤坂銀造がレッドを務めた戦隊ヒーローの名は『珍獣部隊』というらしい。まだ色の概念やモチーフも曖昧で、とりあえず来日したばかりのパンダがレッドに充てがわれた。『レッドパンダ』と呼ばれれば分かりやすかったのたが、当時は『赤熊猫』と表されいた。
「懐かしいなぁ」
レジェンドヒーロー、赤坂銀造がネオアニマルズに加わった瞬間だ。
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