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現実を目に焼き付けるために、近くに寄って妹を観察する。
遠く、中空に浮かぶ水球のようなモノに包み込まれている。
手を伸ばしても、まるで届かない。
今の状況を示すようだ。何もできない俺と、ナニカを得て超常の存在になった妹。
いや、俺にはあるはずだ。男は俺にナンバー・テンと言った。10番目。奇妙な数の符合。つまり、俺は超越者に数えられたのか?
そう、思った矢先だった。
突如、上から何かが降ってきた。だが音はしない。スルリと地面に突き刺さったそれは最初からそこに在るが如く鎮座していた。
綺麗な大剣のようだ。装飾は少なく、無骨でありながらも、確かな重さを感じられる。
──神霊兵装。
これが、その一つだと直感でわかった。
これで、今の状況を変えられるのか?
大剣からは何も伝わってこない。
その沈黙が示す。未だ、その時に非ずと。
ならば、時を進めるしかない。
進め。
俺は大剣を手に取った。
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