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手、つないで
城はとても古かったが、定期的に手入れされているようだった。
リコとキトエは食堂に移動して、やったことのない料理をした。食材は事前に運びこまれていたが、料理をしたことのないふたりなので、具材の大きさはばらばら、硬い、焦げる、味が濃すぎると散々なものができあがった。今後の料理も先が思いやられる。
けれどリコは、とても楽しかった。とても幸せだった。
酷い夕食を何とかたいらげたあと、ふたりで庭へ散歩に出た。
昼間、空とつながっていた花畑は、夜空とつながって紺色に沈んでいた。明日満月になる月が花の輪郭を浮かばせる。そのまま湖のほうへ回ると、さざなみもない水面に月がくっきりと映っていた。草と、水がほのかに香る。
「ねえキトエ」
「何だ?」
「手、つないで」
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