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「お嬢様が怒られることをするわけにはいきません」
リコは頬を膨らませる。
そうして、むくれた顔を解いて、吸い寄せられるようにキトエの瞳を見つめた。
「すごい。黄緑にいろんな色が見える。髪が空で、春に一斉に咲いた花みたい。とっても綺麗」
キトエは面食らったように固まっていたが、この国では珍しい髪と瞳をもつ者として、リコは初めて仲間を見つけたように心が震えた。
キトエもまたその容姿から迫害され、騎士団から流れ流れてリコの家に来たのだと聞いた。疎まれ者同士、リコはキトエを大切に思い、キトエは雇い主の父ではなくリコを主として、行きすぎた忠誠を誓うほど感謝してくれた。
キトエは名目上、リコの護衛だったが、実際は監視役だったのだろう。リコが人に害をなそうとしたとき、その身を犠牲にしてでも止めるようつけられた、監視。
そんな関係でも、リコは嬉しくてキトエとたくさん話をした。
「キトエ、ふたりきりのときは敬語をやめてくれない?」
「主にそんな口の利き方はできません」
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