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勝ったら今度こそ命令を聞いて
鏡に、ヒョウの絵画が映っている。
透けたリコの姿を通して、リコよりも濃く、はっきりと。
これでは支度がしづらい、と見当違いのことを思いながら、リコは寝室のドレッサーを見つめた。
城に入ってから三日目の朝、今日の夜に生贄は城の頂上から花畑へ身を投げなくてはならない。恐怖は、前日までのほうが強い。今からやるべきことが決まっているからだろうか。それとも朝で感情が鈍っているだけだろうか。
何となく身だしなみを整えて廊下に出ると、今日もキトエが待っていた。雨のなか歩き続けて、ようやく人里の明かりを見つけた旅人のように、キトエが泣きそうに微笑む。
「おはよう」
「おはよう」
キトエもいつもどおり、リコもいつもどおり、主と騎士だ。
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