恋人としてすごして

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 キトエが困っている。キトエは優しいのだ。おかしくなって、そうしてふと胸を握り潰されるような感情が襲ってくる。 「お願い。三日だけだから」  微笑んだつもりだったが、笑いきれていなかったかもしれない。リコを仰いだキトエの表情が、こわばって揺れる。こんなことを言うのはずるいのかもしれないが、ごまかすように「ね?」と笑っておいた。今度はちゃんと笑えたはずだ。  キトエは目を伏せて、リコを見つめて、「分かった」と呟いた。 「ありがとう。じゃあ城内探検、行こうか」  キトエが立ち上がる。ふわりと風に香るのは、革や剣を手入れするときに使うみつろうと油の香りで、リコはほんのり甘いその香りが好きなのだった。
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