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告白して
「うわあ、キトエ、すごい」
リコは玄関から庭へ駆け出す。スカートから伸びた鎖に留められた宝石たちが、しゃらしゃら音をたてる。長い薄桃色の髪と鎖を編みこんだ左右の三つ編みもぱたぱた跳ねる。
どこまでも続く、つき抜けた昼の空と同じ水色をした花畑。五枚の花弁をもつ小さな花が、ずっと広がっている。
城に来たとき、絶対にここを歩いてみたいと思ったのだ。空の色と花の色を見つめていると、自分がどこに立っているのか分からなくなる。
応接室、礼拝堂、寝室、書架、台所、洗濯室と巡ってきたが、この現実みのない水色の世界が、リコは一番好きだった。
「すごいね。空の中にいるみたい」
遅れてついてきたキトエの足音に振り返る。
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