告白して

2/5

82人が本棚に入れています
本棚に追加
/80ページ
 溶けるような薄水色の髪が、白のスタンドカラーの上着についた、金ボタンをつなぐ鎖が、左肩から流れる、織模様の入った飾り布が、風を柔らかく含む。絶え間なく日の光を弾き返す薄氷のように、いつまでも見ていられる。  甘い香りを感じながら、リコはキトエを見つめる。キトエは淡く微笑んでくれたが、見つめ続けると戸惑ったのか、居心地の悪そうな顔になった。  ぼんやりと視線をそのままにしていたら、思い出してリコは手を打ち合わせた。 「そうだ。忘れてた。ねえキトエ、お願いがあるの」 「何だ?」 「わたしに告白して」  キトエは理解できなかったのか、顔色を変えずリコを見ている。 「わたしに告白して」 「いや、聞こえてる……何で」  にわかに狼狽しだす。 「恋人同士でしょ? 告白をすっ飛ばしてたなって。恋人になる前に告白するでしょ? ね?」  かわいそうなほど、キトエの眉が下がっている。
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

82人が本棚に入れています
本棚に追加