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【3】
「お母さん、いきなりごめんね」
「気にしなくていいわ。なんならこっちで寝かせるから。……まーちゃん、じーじとばーばと遊ぼうね」
「うん!」
真斗を連れて隣の実家を訪ねた沙織に、母は素知らぬ風に微笑んでくれる。
「そうね、もしかしたらお願いするかも。泊めてもらうなら朝迎えに来るから。どうするかはまた連絡するわ」
「はいはい」
再度感謝を述べて、沙織は自宅に引き返した。
「おかえり。お義父さんとお義母さんには面倒掛けちゃうな」
「大丈夫よ」
素っ気なく返した沙織に、夫は真剣な目を向けて来る。
「沙織。僕からも話すことあるんだ。先に聞いてもらってもいいか?」
「……わかった」
これが二人の、家族の、最後になるかもしれない。声が震えそうになるのが止められなかった。
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