【4】

2/4
前へ
/17ページ
次へ
「蒼良くん、私は伯母さんよ」  母親と「たまに会う、知ってるおじさん」との応酬を不安そうな顔で見守っている少年に、沙織は笑顔を向けた。 「そう! 僕は伯父さん。よそのおじさんじゃなくて、ママのお兄さんなんだ」  沙織の自己紹介に、横から夫も続く。 「伯母さんだけど、沙織ちゃんでも──」 「ママより年上で子持ちなのに『ちゃん』はないって! 沙織伯母ちゃんだよ。僕は『ようちゃん』じゃなくて洋介伯父ちゃんだ」  妻を笑いながら制して、洋介が突っ込んだ。彼の言う通りなので抵抗する気はそもそもない。 「従弟もいるの。真斗って名前で、三歳だから蒼良くんの方がお兄ちゃんね」 「おにいちゃん、……まなとくん、ぼくのおとうと?」 「いや、従弟だって。──蒼良には今まで『従兄弟』っていなかったからわからないか」  蒼良の弾んだ声に、洋介が訂正を入れながらも困惑している。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

96人が本棚に入れています
本棚に追加